今回のお悩み相談
ダンサーとして経歴が増えてきたので、インストラクターを始めたのですが…

どうやって教えていいか全然わかりませぇぇぇん!!
と、お悩みのインストラクターさんのお話をご紹介致します♪
結論
- ダンススキルとレッスンスキルは全くの別物
- キューイングのスキルをまずは習得しよう!

ダンスのスキルだけで指導してはダメ!
ダンスインストラクターだけに限らず、どのスポーツ系習い事教室も、どの文科系習い事教室も、
自分自身がそのジャンルにおいて得意というだけで、簡単に指導できる世界というではありません。
特に気を付けて頂きたい点として『教える事が上手』という事と
『指導者自身が上手にできる』という事はイコールではなく
指導者はプレイヤーとしてのスキルではなく、『指導者としてのスキル』を身につけない限り、
生徒は定着せず、納得されないお客様が増える事で退会率が増加してしまうです。
指導者としてのスキルとは?

インストラクター(指導者)に求められる能力は多岐に渡るのですが、まず何よりも覚えるべき能力は
『キューイング能力』となります。
この『キューイング能力』が未熟な先生や、全く知らずにレッスンを行っている先生には、
生徒が入会率も低く、そして紹介を頂く率も極めて低くなります。
輝かしい経歴や実績を積まれ、ダンサーからインストラクターとして活動の場を広げる方の多くは、
上記の能力を学ばずにインストラクターとなっている傾向があるため、まずはこちらを磨く努力が求められます。
キューイング能力とは?
キューイング能力とは生徒に対して
- カウントに合わせて
- 適切なタイミングで
- 理解できる言葉を選び
- 聞こえやすい声で
- 相手に伝える
この様に的確な声掛け(キューイング)ができる能力の事を『キューイング能力』と言います。略して『Q出し』と言われたりもします。
ダンスやフィットネスインストラクター以外のスポーツ系指導者には
『カウントに合わせて』という要素が無いため、
比較的自由なタイミングで『Q出し』ができるのですが
ダンス&フィットネスインストラクターにとっては、音楽に合わせてキューイングを出す場面も多く
最低でも4カウント前までにキューイングを出さないと、
生徒が困惑してしまう状況も多い点において難易度が高くなります。
これらのキューイングには3つのタイプがあり
- 事前キューイング
- 内的キューイング
- 外的キューイング
このキューイングを生徒の理解度に応じて、正しく使う事が『指導者の価値』となり、お客様の満足へと繋がるのです。
事前キューイングとは
ダンスレッスンやフィットネスレッスン特有の『Q出し』が事前キューイングとなります。
現在、ダンス業界において
ダンサーからインストラクターとなった先生が、この『事前Q』を知らずにレッスンをやられている傾向が極めて多く、
声を一切発する事無く、手をクラップするだけで次の動作の『合図』としたりする方法で指導される方も居ますが、
体験者や生徒がいる場合は、この方法はお勧めできません。
『事前Q』を実施しないレッスンは、初心者・未経験者にとって『極めて分かりづらい合図』であるため
『ストレスフリーではないレッスン』となる傾向がある点を注意する必要があります。
事前キューイングとは
音楽に合わせての『リズム取り』や『アイソレーション』、曲に合わせて『振付』を行う際などに、
4カウントもしくは、8カウント前の時点で『次に行う動作を簡潔に伝える』という能力が事前キューイングとなります。
事前キューイングができていない多くの先生は以下のような合図を出してしまいます…
【音楽が鳴りだして…踊り出しまで3.2.1…】

さぁ!いくよ!せーの!

え!?えええ!?最初の動きどちらの足からだっけ…
この様な形で、『事前にどの様な事』をするのか伝えずに『合図』のみしか出さないやり方は、
慣れた生徒ならいいですが、その慣れすらも『先生のやり方に慣れた』だけであって
それは先生の努力によって、生徒が慣れたでのはなく
『お客様が努力してくれた結果』であるという事実を勘違いしてしまうと…

生徒はみんな私についてきてくれている!!!
と、勘違いしてしまい、『ストレスフリーではないレッスン』に嫌気がさした生徒からどんどん辞めて行ってしまいます。
正しい事前キューイングとは
【音楽が鳴りだして…踊り出しまで8カウント前の時点】

左足からボックスの動き行きますよぉ~!!(4カウント使って説明する)
【踊り出しまで4カウント前の時点】

はい!・5・6・せーの!(4カウントの拍子に合わせて合図)

よし!始まりは、左足からのボックスだな!
この様な形で、動作を行う8カウント前からその動作の内容を合図し、
残り4カウントで拍子に合わせて合図を出すという能力が『事前キューイング』となります。
この1つがしっかりできているだけで、生徒の退会率は下がり、紹介からの入会率は爆増するのです。
内的キューイングとは
理論的に道筋を立てて声掛けを行うキューイング手法であり、その目的は構造などを『理解』させる事にあります。
ダンスレッスンの場合、アイソレーションや振付など各動作の『説明』の際に利用するキューイングとなります。
例えば
- 胸を突き出す際に、肩が必要以上に後ろに引かない様に注意し動作してみよう!
- この動作は左足に重心を乗せていると、その後の動きに繋がらないから気を付けてね!
など、論理的かつ具体的に説明する事によって『なぜそのような状態になるのか?』をお客様に理解させることが大切なのです。
内的キューイングについては、中高生~大人に対してはとても高い効果が期待できますが、
幼児~小学生に対してはこの手法は『飽きてしまう』やり方となりやすいので伝え方に工夫が必要です。
またスキル上達が目的で通われている方には効果がありますが『純粋に楽しみたい』お客様にとっても、
細かすぎる内容の内的キューイングは逆効果となる場合があるので注意です。
外的キューイングとは
比喩的表現(例え話)を活用して声掛けを行うキューイング手法であり、その目的は『頭の中でイメージ』させる事にあります。
ダンスレッスンの際に言葉では伝わりづらい『感情』を身体で表現する振付の際に、イメージによって伝えるキューイングとなります。
例えば
- 羽の折れた鳥が沼地でもがく様なイメージで!
- 弓を力強く弾く様なポーズを!
など、比喩的表現で説明する事によって『先生はこんなイメージを形にしたいんだな!』とお客様にイメージさせることが大切なのです。
外的キューイングについては『比喩的表現』が苦手な先生が行うと、生徒は逆に『ストレス』と感じてしまい、先生の伝えたい事が余計に訳が分からなくなってしまいます。
誤った手法として『擬音』を使うというやり方がありますが、これは外的キューイングとは異なります。

ドーン!と動くよぉー!

ここでバーン!ってしてね!

ここはダダダッツ!ってな形で!

わ・・・分からなすぎる…
『擬音のみ』の伝達方法では、極めて高い頻度でお客様にストレスを与えてしまいます。
擬音はあくまで比喩的表現のアクセントとして活用するに留めて、
ポイントは『お客様がイメージしやすく伝えられているのか?』この点を意識した指導方法が求められます。
本日のまとめ
『上手に教えるという事』と『自分が上手にできる事』と言うのは必ずしもイコールではなく、
『レッスンスキル』が生徒増加&退会率低下に大きく関与しています。
レッスンスキルとは『的確な声掛け』すなわち『キューイング能力』がレッスンの満足度に比例しており、
レッスンスキルが乏しい先生はまず『キューイング』について学ぶ必要があるでしょう!
キューイングについては原理を理解したからと言って出来るモノではなく
何度も何度も練習する必要があります!
『自分がちゃんとできているのか?』をレッスン中に把握する事は困難な事から、
上手にレッスンを出来る様になるまで毎回のレッスンで、私のキューイング音声を録音して、ダメな部分を改善する努力を繰り返してきました。
昔はボイスレコーダーなど必要でしたが、今ではiPhoneで録音ができるので超便利ですよね!
でも、iPhoneでの録音だとすぐに電池切れを起こしてしまう場合や、
Bluetoothで音を再生していると録音できないデメリットもあるので…
現在では『アップルウォッチ』で録音しつつiPhoneで再生をするという手法を皆さんにお勧めしています♪
最新バージョンだと『血中の酸素濃度』まで調べられるので、身体を動かす仕事をするインストラクターの皆様には最高のアイテムですよね♪
レッスン時に自分が行っていたキューイング音声を改めて聞くというスタイルは
意外とされていない先生が多いと驚かされたのですが…
レッスン中に高揚している状態で聞く自分の声と
冷静に分析している状態で聞く自分の声では客観視の度合いが全然違い
自分の『問題点が鮮明』に洗い出されてきます。
この小さな積み重ねを『めんどくさい』で終わらせるのではなく
『自分の為、お客様の為、周りのみんなの為』と思い実践してみてください!!
レッスンスキルには『キューイング』だけではなく
『繋げる能力』や『アイスブレイク』など他にも様々な能力が求められますが、
まずはキューイングとは何か?そして活用できているか?この点をクリアできるようにこれからも頑張っていきましょう!